復興二年企画

くまもと復興
応援メッセージ

平成28年熊本地震からちょうど二年。
熊本へ特別な思いで寄り添いながら、くまもと復興をさまざまなカタチで
応援する人たちからのメッセージをお伝えします。

行定 勲監督

行定 勲監督

熊本県出身。震災前の美しい熊本を残した映画『うつくしいひと』、震災後の熊本を映し出した『うつくしいひと サバ?』に続き、シリーズ3作目となる「いっちょんすかん」をくまもと復興映画祭にて初上映した。映画祭のディレクターでもある。

かせするもん

昨年を経て、今年のくまもと復興映画祭に関して、どんな思いや感想、そして今後への期待をお持ちですか?

“復興”と名がついている映画祭ですから、2年前の地震以降の復興の途上にある熊本は元気で前へ進んでいることをアピールする機会でもあるし、熊本県の方たちへは、被災した熊本に寄り添い、熊本のことを思っている人たちがこれだけいるんだということを伝えるような映画祭にしたいと思っていました。とにかく映画のチカラで元気になっていただきたいと。昨年の映画祭の大成功を糧に今年はそれを上回るべく、さらに映画祭としても力強いラインナップを揃えて、皆さんに楽しんでいただこうという気概で挑みました。

行定監督

かせするもん

今回の「いっちょんすかん」へ込めた思いやテーマは?
しかもコミカル、前2作と毛色が違いますね?

登場人物は「うつくしいひと」シリーズと重なっている部分もあって、そういう意味ではスピンオフという言い方がいいかなと思っています。

テーマとしては、友情と愛情とふんばる熊本。復興をテーマにする映画となると辛かったことや、悲しいことのエピソードから人々が立ち上がるような美談を語りがちですが、私が感じた被災した実際の熊本の人たちには、ユーモアや力強さがあった。地震当日からその翌日にかけて、恐怖や不安の中でもユーモアを忘れない熊本人らしいキャラクターを通して涙あり笑いありのグッとくる映画にしたいと。そういう意味では非常に熊本らしいヒューマニズムを描いた映画になったと思います。

タイトルの「いっちょんすかん」っていうのは、「お前のこと嫌いだ!」って言いながら、本当は好きなくせにっていう熊本人らしい複雑な県民性を表した言葉です。「いっちょんすかん」っていう言葉の響きには、嫌いだって言ってるのに常に憎しみを感じないんですよね。

熊本は『肥後の引き倒し』っていう言葉がある位ですから、すぐ人の悪口言ったり、足を引っ張るじゃないですか?仲間なのに足の引っ張り合いをするっていうね。「もうアイツのああいう所がいっちょん好かん」と憎まれ口を叩き合ってるくせに地震が起こった後には、避難所でお互いの安否がわかると「うわぁ、お前生きとって良かった」っていうようなことを思わず言ってしまうような。大地震を通して、熊本の人たちは、仲間の愛情や友情が浮き彫りになったんじゃないかと思うのです。みんなで同じ恐怖や不安や苦労をして、お互いがちゃんと向き合う経験をした。そんな一枚岩になった熊本を地震後に私は感じました。

なのに2年経つとですね、また「いっちょんすかん」て言い合ってる。でも、それは少し復興が進んだのかなと感じる部分かなとは思えて、微笑ましくもある。復興したことは良かったけど、ただ、一枚岩になったあの時のことは絶対忘れちゃならないと思うんです。 あの時の熊本の人たちの連帯と、一体感ていうのは立派だったと思うし、その姿を忘れないようにして、熊本がまた一枚岩になって復興の道をさらに進み、もっともっと良い街にして欲しいなという思いがあって、それを忘れないようにあの感情を描いておきたかったというのがあります。

行定監督

かせするもん

震災2年を経て、3年目の新たなる出発。復興のフェーズ、次段階を熊本出身、地元の芸術をけん引する者としてどう見据えますか?
新しい会社を熊本に設立されたとお聞きしました。

熊本の内側にいると分からないことや見えないことが案外あって、そういう外側みた気づきを地元に与えられたらいいと思っています。熊本は地震によって痛手を負った街ではありますが、その経験をプラスにして街を立て直すという、それをひとつのチャンスだと考えられるかもしれません。そこの部分で何かお手伝いできるかもしれないと思っています。 私は今年で50歳になるのですが、社会貢献とは言わないですが、自分の愛してる場所に何かチカラになれないかと。故郷に寄り添っていきたいという気持ちでいます。熊本の復興はもちろんのこと、何か面白いことができるといいなぁと思ったりもしています。明らかにそのひとつが、「くまもと復興映画祭」です。今はまず、映画を上映し、映画を作った人々と交流することで映画ってこんなに面白いものなんだと知ってもらう段階ですが、将来的には映画の面白さを知った観客に映画を作るプロセスを教え、新しい才能を見出すような新しい試みにも挑戦して行きたいと思っています。そういうのも映画祭の在り方だと思うんです。芸術に目覚めた人たちに対して助力する、それが次の段階。映画祭っていくつか の側面を持っていると思うんですが、そういうことを少しずつやっていけるといいなと思っています。熊本って “わさもん文化”のトップランカー、新しもの好きで、トンガったもの好きな熊本人だから、そこからもっと映画を作る才能やセンスのある人間が現れてもいいだろうなと思うし、そんなことをやって行きたいと思っています。

行定監督

かせするもん

うつくしいひとシリーズの今後はいかがですか?

いまはまだ考えてないですね。

熊本の復興はこれからも続いていきます。終わりはないと思っています。復興の過程、その時々でうつくしいひとで描くべきものが見えたら作られるでしょう。確実なのは20年後に熊本城が完全復活した年に撮りたいというのが目標です。私が70歳になる年。まだ映画を撮っているとは思いますが、是非、高良健吾主演でやりたいいですね。高良くんはその時50歳くらい。そういう「うつくしいひと」が観てみたいです。

行定監督

かせするもん

みなさんへメッセージをおねがいします。

いま、熊本の人たちは、二度の大地震を経て、熊本に対する愛情とか郷土愛みたいなものがそれぞれ、強まってるものがあるはずだと思います。なかなか心の復興が出来ずに不安とか生きづらさみたいなものがある方もいると思いますが、地震後から感じた人々の結びつきや人を想うチカラで現状を乗り越えていくことを目指さなければならないと思っています。

その思いを忘れずに、復興目指して踏ん張っている熊本の人々のことを風化させないように、未来に繋げていくことが大切だと思っています。私は文化を作っている人間なので、かつて熊本で大きな地震があったという記憶に残るようなものを作って行きたいです。 復興への道程はまだまだ長いですが、これからは県民一人一人が未来に向けてそれぞれを思いあって、みんなで復興する意識を持つことが重要なことだと思います。

行定監督

行定 勲監督

高良 健吾さん

熊本県出身。熊本市わくわく親善大使でもあり、熊本の魅力を発信し続けている。
「うつくしいひと」シリーズ2作、そして「いっちょんすかん」に出演。
同時に熊本地震をテーマにした映画「ともにすすむ」にも主役として出演。

かせするもん

昨年を経て、今年のくまもと復興映画祭に関して、どんな思い、感想をお持ちですか?

こんなにデカくなったのかぁっという思いが昨年あって、またそれが続けられるということが不思議です。自分が思っていた以上、想像以上のモノになっていて、それに対しての責任感というものがまだ追いついてない位大きくなっています。それはとてもうれしいことです。

高良さん

かせするもん

本作「いっちょんすかん」への思いはいかがですか?

僕が「やっぱり行定さんがスゴイな」と思う所、震災当日の日を哀愁の中に笑いを入れていること。それが、やっぱり素敵だなぁと思います。やっぱり映画を観た時に震災の日のことを思い出す人っていると思うんです。それを笑いに変えてる。それが意味があることだなぁと思います。

しかもそれができるのってこの日本、というか世界の中で行定さんだけなんですよ。 観てる方は、行定さんだから納得できるところがきっとあると思います。そういう所が素敵ですね。

高良さん

かせするもん

探偵をシリーズで3回臨んだことで心がけたことは?

震災を扱っているからこそシーンを探偵として重くしない、ってことですかね。
探偵自体が、震災が起きて何か人と接する時に人への接し方を重くしないということを心がけました。

高良さん

かせするもん

震災2年を経て、3年目の新たなる出発。復興のフェーズ、次段階を熊本出身、地元の芸術をけん引する者として思いはありますか?

震災の記憶や意識が薄れていくというのはある意味必要なことだとも思っています。苦しい記憶は癒されていってほしい。ただ、あの時感じたことや、みなさんの人生において起きたことで何かが変わったこと、一人一人の人生にとって意味あるものにするということが凄く大切だと思います。とても難しいけれど“地震のおかげ” っとなれたら最強だと思います。

そして、何かを続けることだと思います。それは、ひとりひとり違うんですけど、何かを続けていくことが大切だと思います。

高良さん

かせするもん

震災を扱った2本の作品に出演されていますね。違い、共感、共通するものはありますか?

監督も違いますし、スタッフも違うから、違うものだと思います。
でも、熊本のために何かをしたいっていう気持ちだけは共通しています。
そして、それが大切。

僕は、熊本にいたのは、生まれて3歳まで、そして中2で戻ってきて5年、8年間なんですよ。でも、生まれたトコ、そして思春期を過ごしたトコだから何かあります。
何で僕こんなに熊本のこと好きなんだろうと思うと、やっぱり過ごした地元の友だちや地元が好きなんです。やっぱり“人”なんだと思います。出会った人たちが良かったんだと思います。
県民性ってあると思うから、ずっと続いてきた県民性。受け継がれてきたものなんですよ。

高良さん

かせするもん

みなさんへのメッセージをお願いします。

こんな風に大きく取り扱われる映画祭が熊本になかったのが悔しかったなと思います。 「熊本で映画を観る機会がない」っていう人が結構いらしゃって、みなさん観たら、面白かった、映画館いいねって言うんです。僕は、そのきっかけを作りたいだけなんだと思います。自分は映画に育ててもらったし、映画館でしか得られないことをたくさん知ってるから行く。だから、そのきっかけになる。それをしたいだけなんだと思います。だから、映画祭がきっかけになって、さっきも握手会をさせてもらって「高良さんのおかげで映画をみるようになりました」とか、それが一番うれしいですね。僕は、映画に救われてきたから。それが、自分がオモテに出る人間としてやれたってことが、自分の命の使い方として凄くしたいことです。

高良さん

米村亮太朗

米村亮太朗さん

行定勲監督作『うつくしいひと』『うつくしいひと サバ?』に出演した熊本県八代市出身の米村亮太朗さん。
本作「いっちょんすかん」では、主役を務める。

かせするもん

今作で主役に。その経緯やどんな思いや気持ちで臨まれましたか?

行定監督からもっと熊本色を、熊本で実際活動している方たちで映画を撮りたい、とお話をいただきました。
最初は主役とは聞いておらず、本決まりになった時に初めて知って文字通り狂喜乱舞しました。

米村さん

かせするもん

本作はコミカル、スピンオフ的でこれまでのシリーズと違いますね?

前2作はどこかしらカッコ良かったり、シリアスなシーンがありましたが、今回は、登場人物が全員バカなんですよ!倉科(カナ)さんの役もちょっとバカですから、ほんとにバカしか出てこない(笑)

前作の<サバ?>が震災というものに対する言わば「大きな物語」だったのに対して、 今回の「いっちょんすかん」は被災されたみなさん一人一人にとっての「小さな物語」にあたるのではないかと思います。

被災された方にお話を聞くと、皆さん必ず何かしらのストーリーを持ってらっしゃるんですよね。そういう意味でより親近感を持っていただける作品になるのではと思います。
自分が出ておいて何ですけど、作品としてめちゃめちゃ面白いので、自信をもってみなさんに観てください!と言える作品になっています。

米村さん

かせするもん

みなさんが投影できるシーンもありますか?

避難所だったり、車中泊の駐車場だったり、みなさん毎日目にされていた場面だったと思うので、あくまでも映画の中で再現したものですが、ある種の記録映像としても見れるんじゃないかなと。

米村さん

かせするもん

熊本のタレントさんが多く出演されていました。撮影中や本番以外でのエピソードなどありますか?

自分が主演ということで、すごくプレッシャーで・・・正直、始まる前はろくに眠れないような毎日だったんですけど、いざ現場に入ったら、熊本のみなさんがほとんど演技未経験の方たちだったのでもう大変で(笑)、「この人たちとお芝居を成立させなきゃいけない!」っていうので必死になりまして、気が付いたらいつのまにか緊張も無くなっていました。 ただ、そんな懸念も最初だけで、出来上がった作品の中ではみなさん輝いてるんですよ!やっぱり人に見られるお仕事されてるから引き出しはちゃんと持ってらっしゃるんですね。熊本を一緒に盛り上げる仲間だと思っているので、今後とも末永く付き合っていきたいと思います。

米村さん

かせするもん

震災2年を経て、3年目の新たなる出発。熊本出身、熊本の芸術をけん引する者としての思いはありますか?

2年経って震災のことをともすると忘れがちなんですが、街中を見ると復興はまだまだだなと思います。まだ復興の途上であることをどこかしら頭において生きていかなければならないと思っています。 出来る事はなんでも、何かお役に立てることがあれば、全力でやらせていただく所存です!

米村さん

かせするもん

熊本城の屋根とれましたね。

浪人生時代、ツラくなると二の丸へ行ってました。特別な場所ですよね・・・ 小学生の頃、天守閣の急な階段がめちゃめちゃ怖くて泣いてたのをいまでも強く覚えています。

米村さん

かせするもん

みなさんへのメッセージをおねがいします。

「いっちょんすかん」、エンターテインメントに振り切った作品になっています。
もちろん楽しんでいただきつつ、この映画とともに震災の記憶というものをいつまでも持ち続けて欲しいなと思います。ぜひお楽しみください!

米村さん

interview 倉科カナ 斎藤 工interview 倉科カナ 斎藤 工

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くまもと復興映画祭に臨まれての感想、思いは?

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倉科さん

より一層熊本が大好きになりました。
こうして熊本の人たちが集まって、映画を作って、熊本のみなさんの力になるために、今日熊本が一つになったような、熊本の人たちってこんなに情が深くって、絆も深くって、改めて熊本に生まれて良かったなと実感しました。

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斎藤さん

実は自分の父親のルーツが熊本にあって、熊本への意識というのは幼少からありました。 復興映画祭になる前の菊地映画祭からとても気になっていた映画祭です。震災を経て、こういった熊本の映画人たちが立ち上がり、地域の方とタッグを組み、こんなに力強い轍のようなものを毎年刻んでいく。ここにもう一つの軸が生まれる歴史の一部に参加させていただくことを光栄に思っています。

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映画上映に当たり、熊本の方の反応をみて、改めて熊本への思いというはいかがでしょうか?

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倉科さん

今回、「いっちょんすかん」出演という形でみなさんのお力に少しでもなれればと思いますし、苦しい中に希望を見つけて、まだまだ苦しんでいらっしゃる方はいらっしゃると思いますが、それを強さに変えて前に進んでいく力を熊本の人は強かねって私は思います。これからも小さいですがお力になれればと思います。

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斎藤さん

震災が起きた後に何かできないかなと思って、高良さんに連絡をして、益城に行かせていただきました。現地でいろいろな方と出会うことができ、毎年訪れている小学校があったり、それがご縁で大分県と八千代座で復興映画館をやらせていただきました。 震災を経て、娯楽のチカラは、希望に変えるチカラがあると思いましたし、こういった映画人の方たちとより深い絆をもって接することができると思いました。 こんなにも熱を帯びた祭典が催せるんだなとプロセスも含めて感動しながら関わらせていただいています。3日間楽しみたいです。

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映画祭3日間において何を感じて、これからどう震災に向けて進んでいって欲しいですか?

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倉科さん

みなさんにぜひ楽しんでいただきたいという思いです。

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斎藤さん

映画は見知らぬ人と空間を共有する喜びが一番だと思っていますし、この映画祭は作り手の方たちの一方通行ではなく、双方向から盛り上がっていて、しかもここから生まれる作品があるっていうかなり稀有な映画祭だと思います。ここから未来に復興映画祭を通じて映画人になっていく熊本の若者が生まれたらいいなと行定さん、高良さんと話していて、長い目で見ながら、この映画祭をしっかりと運営させていこうとされているんだなと思います。みなさんとお祭り、フェスに行くような体感を共有したいと思います。