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復興特集第2弾 その2

映画の力で復興を

くまもと復興映画祭

くまもと復興映画祭

Powered by 菊池映画祭

4月19日(金)市民会館シアーズホーム夢ホール、
20日(土)菊池市文化会館、21日(日)くまもと森都心プラザにて開催された
「くまもと復興映画祭 Powered by 菊池映画祭」。
3回目を迎え、総合ディレクターである行定監督に“復興映画祭”にかける思いをインタビューしました。

行定 勲 監督

くまもと復興映画祭
ディレクター

行定 勲 監督

復興映画祭3回目を迎えての思い

映画人において「くまもと復興映画祭」が4月にあるということが定着しはじめていて、声を掛けると「あっ、声が掛かった」という感じで、「それはなんとかしたいなぁ」という人たちが多いですね。

東京から熊本は遠い所、本当に復興しなきゃならない人がいる、それが中々見えにくい所にあることをみんな感じ取っています。見えにくいってことは、熊本を元気に底上げすることが一番。そのために力になれるならばとみんな考えてくれているというのが伝わってきます。

そうなると、それを受けて立って逆に跳ね返すような力で立ち上がる熊本に、映画祭は必要だと改めて思っています。

もちろん難しい部分もあるでしょうが、熊本はドンドン元気になってますよね?復興の途上に立つ人たちとは到底思えないぐらいの力強さがある。

でも、あの人たちには見えない所に結構苦労もあるんですよ、それを見せない熊本であるっていうことが伝わっているような気がします。露呈しまいがちな弱さを、見えない部分を見せない熊本。僕の中では非常に誇らしい。

僕は映画作りをする人間として、映画祭で少しでも見えない彼ら、見せないで頑張っている彼らを応援したいと思っています。

だからこそ熊本にみんなを呼びたいんですよね。もっと元気にしたい、刺激を与えたい、もっと言うなら活路を見出したい。だから3年目は、今までの中で一番クタクタになってるってくらい力が入っています。

招待された映画に関してテーマはありますか

メジャーじゃない、デビュー作がほとんどです。彼らは何の援助もなく、自分たちで自発的に作っています。そんな作家が自由に書いたものほど、それが成立しているものほど強いものはないんですよ。本当の映画の本質的なものを見逃さないと思います。

熊本の人たちは、地震があって、生活を見直したり、自分たちの生き方を見直したり、どうやって生きていくか?の本質を見たと思います。

映画ってそういったことを発見させてくれるもの、ひとつの活路を見出だせるものじゃないかなと思っています。若手の人たちの俺はどうしても映画が好き、私はこんな映画を撮りたかったんです、というものを観ることで、いまの熊本の人たちには、何か発見があるような気がします。

そういう映画を敢えて狙っています。中には大きく公開する映画も入っていますが、それはそれで人にまつわる映画だったり、その人を代表する映画だったりしています。

見逃しちゃいけない映画ってあると思うんです。人に紹介されなきゃ観なかった映画、それを観て欲しいと思います。映画ファンはもとより、映画を中々観なかった人たちが観に行ってみたら意外とショック受けた、そういうのが良いですね。

行定 勲 監督
今後のビジョンはありますか

物凄くあります。来年、MICE(※)の新ホールで映画祭をやります。

MICEは、地震後にできた復興のシンボリックな施設として、アートや文化を継承していく場所になっていくと思います。

スタイルも新しく変わっていくと思います。新たな演出で、核心的な、前衛的な映画を紹介する本格的な映画祭に少しずつ変貌していくと良いなと思っています。むしろ変えていきたい!熊本の人は、新しもの好きで前衛的なところがある。ファッションにしたって、音楽にしたって、アートにしたってあると思うんですよね。もっと刺激して、ここに来れば毎年楽しめるんだな、新しいものに出会えるんだなという風にしていきたい。熊本の文化民度をさらに押し上げたいんです。誰を招聘して、何を今後観せていくか?そういうところに挑戦したいですね。僕もそこは思い切って、先陣きって、驚くようなことを仕掛けていきたいと考えています。

(※)MICE(マイス)とは、企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨旅行(Incentive Travel)、国際会議や全国規模の大会、学会(Convention)、展示会や様々なイベント(Event/Exhibition)など、県外からの集客が期待できる4つの分野を表します。この4つの分野を表す英語の頭文字M,I,C,Eをならべて「マイス」と読みます。

かせするもん。ユーザーへのメッセージ

熊本はいま変換期にあると思います。シンボリックな熊本城がいま凄いことになってますよね。最新式の技術の結集を搭載した、側は歴史的な建造物に見えるけど、途中経過が見えるという面白い格好をしている。地震という天災に見舞われたんですが、熊本城をはじめそれをきっかけにして何か変わっていこうとしている街の風景というのが非常に面白いと思います。外から見ると、勢いもあるし、街が活気づいている気がします。

熊本人が見せない強がりみたいなものがあるでしょ?本当はキツいんだけど強がって、その分だけ何かパワーを秘めてるものを一生懸命出してるっていう、その空気に触れてもらいつつ、それをさらに後押ししてくれたら熊本が少し楽になると思います。観光もそうだし、歴史のひとつの変換されていくことが露呈されている状況の熊本を楽しんでもらいたいですね。

新しく街が変貌するのを見ると、変わった後も見たくなりますよね。みんな前向き。そういう場所の空気って、別の街から来て浴びると自分に持ち帰れます。

僕もそうです。大きな映画祭に行くと勇気を与えられます。東京に帰ってまた頑張ろうと。またもう1本新しい映画作ってあの場所に帰ろうと。くまもと復興映画祭もそういう一つになれば良いなと思います。

映画祭ゲストからの
メッセージ
くまもと復興映画祭 ゲスト

Q1.くまもと復興映画祭に参加しての思い

Q2.どんな映画祭にしたいですか?

奥田瑛二さん

奥田瑛二さん

Q1.くまもと復興映画祭に参加しての思い

オープニング上映された『洗骨』は、家族の再生がテーマです。家族をもう一度自分で構築する、相手がいても決定して前に進むのは自分自身でしかない。長い年月、子どもたちが育ってきた、色んな歴史の中で思い出というものが染み込んで、細胞としてふつふつと沸いているのが家族。その連動は凄いと思います。

熊本の方たちも何か自分の中で細胞が活性化され、明日に向かえるものが届けられたらうれしく思います。

Q2.どんな映画祭にしたいですか?

映画祭をやる、つくる、続ける、本当にとんでもなエネルギーがいることだと思います。3年前に復興映画祭を立ち上げたって聞いた時に「エッーーー、凄いな!」と思いました。今回3年経って伺ったのですが、これから、良い映画祭になっていくであろう“明日”が見えます。俳優、監督、売れてる人、これからの人、僕のように歳とっていく俳優も含めて「いや~楽しい映画祭だぜ!」というにようになると思いますので、熊本城の“明日”を見るように育てていってもらったらうれしいなと思います。

水崎綾女さん

水崎綾女さん

Q1.くまもと復興映画祭に参加しての思い

阪神淡路大震災を経験し、自分の生きている意味を考えるようになりました。震災で、当時ボランティアで来てくれた方々に恩返しをしたいとずっと思っていました。

ボランティアとして熊本に訪れたことがありますが、この仕事をしていく中で、女優として、復興映画祭として戻って来られて本当にうれしく思います。自分が受けたもの、経験を伝えていくのが自身の使命だと思っていて、やっと自分が生きている意味が見つかったような気がします。

Q2.どんな映画祭にしたいですか?

今年初めて呼んでいただいたので、毎年呼んでもらえるような俳優にならないとなというのがこれからの試練だと思います。もっと影響力をつけたいと思います。

高良健吾さん

高良健吾さん

Q1.くまもと復興映画祭に参加しての思い

地震から3年経ったいまを見て、もらうことの方が多いです。熊本の人は、男の人も、女性も心配されたくなくて、心配させたくなくて、ちゃんと格好つけてくれる人が多い。それが熊本の県民性だと思います。それが熊本を育てていると思います。

景色で言えば、熊本城の存在感てやっぱり凄いと思います。熊本城が少しずつ修復されていく、それで復興を感じれる、それがこれから十数年続く、熊本城でまたそれを感じることができる。先日帰ってきましたが、改めて熊本城の凄い存在感を感じました。

Q2.どんな映画祭にしたいですか?

みなさんに育ててもらっていると思います。こんなに地方で盛り上がっている映画祭って中々ないですし、僕たちの一方通行ではなく、観てくれてる方たちがいてこそだと思います。

本当に楽しみにしてくれている方たち多くて。熊本の人たちには確実にそこにある文化だったり、芸術だったり、映画っていうものを受け入れる土壌が元々あると思います。

行定監督はじめみんなで支えてやっていきます。これからもっともっと育っていくと思います。熊本の方たちにとって映画祭を通して映画が特別になっていくと思います。そうなっていくためにまた頑張ろうと思います。

松本穂香さん

松本穂香さん

Q1.くまもと復興映画祭に参加しての思い

まだ22歳で大した経験もないのですが、映画、映画祭を通してみなさんに何かプラスになるような力を伝えられることがたくさんあるんだなと思いました。

愛、温かさをこちらがいただけて、自分のパワーになって、つながってまた素敵な映画を届けられたら良いなという気持ちになりました。

Q2.どんな映画祭にしたいですか?

笑顔でいっぱいの映画祭になればと思います。

映画祭の楽しみ方
ティーチイン
ティーチイン

復興映画祭では毎回ティーチインとして、映画作品についての出演者や監督によるトークショー、観客からの質疑応答が展開されています。今回も映画祭ならではのお話がありました。観客の投げ掛けに監督や演者がしっかり答える中で会場は一体感に包まれていました。一部をご紹介します。次回、機会があったら参加してみてください。これぞ、くまもと復興映画祭の醍醐味です。

観客質問1

不思議な映画で自分では選んで観ることはまずなく、こういう機会に観ることができてよかったです。観て側の想像でいろいろ考えて観ていい、映画ってそういうものだと思うんですが、最後のシーンの意味がどうしても分かりませんでした。教えてください。

ネタバレ防止のため、回答は割愛いたします。

観客質問2

主演された女優さんへ質問です。現在、高校教師をしており、高3の担任をしているのですが、生徒が女優になりたいと本気でいっています。どんな進路とか、言葉掛けをして良いのか教えてください。

辻凪子さん

私は京都造形芸術大学を卒業しました。東京に行ったら女優しかできなかったと思いますが、作ることもできましたし、仲間ができました。ですので、大学進学をおすすめします。連絡先を教えていただいたら詳しくお教えします。(会場爆笑)

村上由規乃さん

私も同じ意見です。大学に入って、映画を観ることが好きになりましたし、映画以外のことを考えることが物凄く好きになりました。色んなことに興味を持てるようになりました。俳優になることだけが私の人生ではない、もっと勉強したいと思いました。ぜひ、京都造形大学をおすすめします。(会場爆笑)

通し券
行定 勲 監督

くまもと復興映画祭は各日通し券で販売されています。これは総合ディレクターである行定監督の思いがあるからです。映画祭フィナーレで語った思いを紹介します。ぜひ、この思いを知った上で、映画祭の作品“通し”で楽しんでください。

1作品毎にすると、選ぶ必要がない。“通し”にすると1本観て面白かったなぁ、2本観て疲れたけど、でもあと2本せっかく観れるのに勿体ないなで残ったら、凄い宝物に当たったってことが僕は実際あります。

1本1本選択するとなると普通に公開される映画と同じです。通しは、プログラミングする時にある種、自分の中にストーリーができます。映画作っているのと同じです。

劇場デビュー作、商業映画の前の段階の劇場に掛かっている映画を観れるのは凄く貴重なことです。ぜひ、応援してください。

熊本の映画を観る角度、幅、文化民度に関わって上げていきたい。そうすると熊本からまた新しいムーブメントが生まれます。復興映画祭は続いていくでしょうし、大きくなっていきます。観衆のみなさんに掛かっています。一緒に映画を作っていきましょう!