第4回次世代ベンチャーコンテスト「熊本テックプラングランプリ」
第4回次世代ベンチャーコンテスト「熊本テックプラングランプリ」
第4回次世代ベンチャーコンテスト「熊本テックプラングランプリ」

2019年7月20日(土)に第4回となる次世代ベンチャーコンテスト「熊本テックプラングランプリ」が熊本の肥後銀行本店ビル2階大会議室にて開催されました。
総勢360名を超える聴講者が会場に訪れ、熱気に包まれる中、迫力あるコンテストが展開されました。

本コンテストは、主催者の熊本県次世代ベンチャー創出支援コンソーシアムが行う創業支援プログラム「熊本テックプランター」の一環として開催されています。熊本の大学や企業が持つ最先端の技術を世の中に出し、より良い世界に変えていくといった、大きなビジョン・志を有する熱い方々がビジネスプランを発表します。
熊本地震からの創造的復興に向けて、産業創出と次世代の人材育成という、二つの顔を持つコンテストです。

今回は、未来の熊本、ひいては日本を担う学生さんに取材してもらい、そのレポートをお届けします。

こんにちは、熊本大学自然科学教育部(研究科目:ロボット工学)の杉本です!
卒業後は創業も視野に入れています。
創業支援といえば「熊本テックプランター」と呪文を唱える、熊大発ベンチャーでもある先輩から開催の情報を入手し、勉強も兼ねて今回の取材レポートを担当させていただきました。

熊本テックプランターは、熊本の最先端技術を活用した社会課題の解決に向けて、持続可能なビジネスへの一歩を後押しし、グローバルに活躍する企業を育成するための活動です。肥後銀行、熊本県、熊本大学、熊本県工業連合会、リバネスの5社を中心とし、熊本県内外のパートナー企業と一緒に活動を行っています。産官学金が連携して行っており、これは全国でも熊本だけの取組みです。今年で4年目となるそうで、このコンテストエントリーを通じて創業された方も多く、産業・雇用の創出の面で、熊本地震からの復興に大いに貢献していると思います。

熊本県立第二高等学校 睡眠班の皆さん

KUMAMOTO TECH PLANTER(熊本テックプランター)は、熊本県・株式会社肥後銀行・国立大学法人熊本大学・一般社団法人熊本県工業連合会・株式会社リバネスの5者が組織する「熊本県次世代ベンチャー創出支援コンソーシアム」によって運営しています。アグリ・バイオ等の自然共生型産業などの創出に向けて、次世代技術と情熱をもって熊本から世界を変えようとするチームを発掘・育成することを目的とし、「第4回熊本テックプラングランプリ」を開催します。

KUMAMOTO TECH PLANTER

1. 熊本テックプラングランプリ

みんなで熊本を、
世界を良くする

「熊本テックプラングランプリはビジネスアイデアを審査するビジネスコンテストとは違います」と主催の株式会社リバネス戸金さんは言います。熊本を、世界をより良くするテックプランをこの場で発表し、みんなで助け合い・協力しながら実現する。熊本テックプランターへのエントリーは始まりであり、グランプリは、その交流の場を提供しているのです。
その言葉どおり、「あの会社が協力できそうだから紹介しますよ」という審査員の先生方の言葉を何度も耳にしました。

熊本テックプラングランプリ

僕も卒業研究を学会などに発表することがあるのですが、学会の雰囲気とは全く異なるものを感じました。発表者12チーム中8チームが大学関係者からの発表ですが、学術研究としてではなく、経済、産業の目線からの指摘が多いのも特徴的です。「世界をより良くしたい」という意識を全員が共有しているのが伝わってきます。

熊本テックプラングランプリ

除草ロボットや感情解析など
広い範囲の研究発表

ここからは、ロボット工学を専攻している僕が気になった発表をいくつか紹介します。
まず一つ目が「崇城大学ロボット研究会・平研究室」が発表した「農業のための雑草除草ロボットの開発」。農家への負担が大きい除草作業をロボットが自動でしてくれます!とても実用的で近未来感溢れる研究ですね。

熊本テックプラングランプリ

もう一つが「CENTRIC株式会社~感情解析チーム~」の「感情解析を用いた職場改革」という発表。
コールセンターの運営などを行なっているCENTRIC株式会社は自社のデータを生かして、音声から感情解析を行う研究を行なっています。声からその時の感情がわかるのはすごいですね!音声から疲労が溜まっているかどうかを解析し、職場改善に役立てることができるそうです。働き方改革にも役に立ちそうですね。

熊本テックプラングランプリ

2. 最優秀賞を受賞したP&Aにインタビュー

熊本テックプラングランプリで最優秀賞を受賞されたP&Aにお話を聞きに崇城大学へ!

P&AはPhotosynthetic bacteria &Algaeの略で「光合成細菌と藻類」という意味。今回の発表の内容もその名の通り「光合成細菌由来の藻類活力剤」というテーマ。光合成細菌に関する研究をされている崇城大学、宮坂均教授の研究室で行われている事業です。

最優秀賞を受賞したP&A

P&A代表で崇城大学博士前期課程1年の岩井蘭子さんと宮坂均教授にインタビュー!

P&A代表 崇城大学博士前期課程1年岩井蘭子さん、宮坂均教授

新しいことに挑戦したい
という思いが結果に

岩井さんは崇城大学の大学院工学研究科応用生命科学専攻、修士課程一年で宮坂教授の研究室に所属しています。「大学で新しいことに挑戦したい」という思いで、崇城大学の学部生時代は、起業部という部活動に所属していたそうです。崇城大学の起業部では様々なビジネスコンテストにも出場したといいます。

そして、起業部で様々なことに挑戦した経験から培った粘り強さで、何度も条件を変えて実験を繰り返したことで、ついに活性剤の実証成功という結果を手にすることができました。

P&A代表 崇城大学博士前期課程1年岩井蘭子さん

様々な用途で応用可能な光合成細菌

光合成細菌とは微生物の一種です。光合成細菌は光合成を行うことで、農作物や水産物の成長促進・品質向上を促します。その応用範囲は広く、車海老の免疫力向上、畜舎や堆肥の脱臭効果、昆虫(ミツバチ、蚕、カブトムシなど)の成長促進に関する研究も行われています。

P&Aでは光合成細菌を藻類の成長促進に活用しています。

研究をブラッシュアップ
させるために参加

実は、P&Aが外部のコンテストに出場するのは今回の熊本テックプラングランプリが初めてだそう。一歩一歩確実に実用化や事業化するために、研究を外部の目に触れさせてブラッシュアップさせるのが一番の目的だったといいます。

広い分野からの意見や他の企業との繋がりを得ることができ、新たな活用の目も見える内容であったため、結果的に最優秀賞を受賞しましたが、賞を取ることができなかったとしても広い分野からの意見や他の企業との繋がりを得ることができ、新たな活用の目も見えてきたため十分に参加した意義はあったといいます。

P&A代表 崇城大学博士前期課程1年岩井蘭子さん、宮坂均教授

これをきっかけに、さらなる進化が期待されるP&Aから目が離せません!

3. 第二高校で睡眠を研究する高校生にインタビュー

今回のテックプラングランプリでは、特別講演として高校生の研究発表がありました。今回参加したのは熊本県立第二高等学校で睡眠班の皆さんです。

熊本県立第二高等学校 睡眠班の皆さん

第二高校はスーパーサイエンススクール(SSH)指定校です。そのため、高校生でありながら様々な研究を行なっています。
第二高校睡眠班は、研究・開発に挑戦する中高生のための学会「サイエンスキャッスル2018 九州大会」で熊本県次世代ベンチャー創出支援コンソーシアム賞を受賞したチームです。
そんな第二高校の皆さんを講演前にインタビューしてみました!

今回インタビューに答えていただいたのは、第二高校3年生の出合さん、本田さん、友田さん、渡辺さんと担当の先生である高崎先生の5名です。

第二高校3年生出合くん、本田くん、友田くん、渡辺くん、担当高崎先生

居眠り防止のために睡眠を研究

学校の授業中にウトウトした経験がない人は恐らくいないのではないでしょうか?睡眠班の皆さんは、そんな誰もが経験する授業中の居眠りを防止するための研究をしていました。高校生ならではの着眼点ですね!もし研究によって居眠りが解消されれば受験などにもとても役に立つはず。

ではどうやって居眠りを防止するのか?着目したのは”色”。色に眠気を催す相関性があるかもと仮説を立て、試行錯誤しながら色以外の外的要因を除外した実験を繰り返して研究したそうです。

結果導かれた最も効率の良い実験方法がカラーグラスを使った実験。カラーグラスをかけた被験者5人、5つの色で実験してみた結果、緑色が最も眠気を誘発しやすいということを突き止めました。

熊本県立第二高等学校 睡眠班の皆さん

小中学生にもっと研究活動に
触れてほしい!

このような研究活動から様々な学びや気づきが得られたようです。

チームで研究をする場合、実験から得られた結果の考察に関する議論が欠かせません。睡眠班の皆さんもチームでの議論の時間を増やしていたそうです。議論することで、同じ結果から深い考察をすることができます。そして、次の実験に活かすことができるのです。睡眠班の皆さんはこの議論の時間をとても楽しんだそうです。

このような議論の場は普通の高校ではあまりないのではないでしょうか?しかし、実際に社会に出ると議論や会議はとても重要です。

睡眠班の皆さんはこの貴重な経験からもっと多くの小・中学生、高校生に研究に触れてほしいと言います。

研究から得た学びを伝えるために、中学校の理科教師になりたい!という熱い想いの生徒さんもいました。若い世代(僕も含め)が機会を与えられることで得る経験はさらなる次世代の発展につながると確信しました。

4. まとめ

熊本テックプラングランプリを取材してみて、熊本には世界レベルですごい研究をしている人がたくさんいるのだと知りました。そして、その研究を活かし、世界レベルの課題解決に貢献できるベンチャー企業を発掘・育成・輩出しようという、オール熊本の熱量を感じました。熊本テックプランターはコンテストをやって終わりではなく、事業化にむけた第一歩です。受賞チームもそうでないチームも、産学官金から全方位の支援を受けることができます。リバネスは研究者の発掘を、熊本大学は知識を、工業連合会は技術を、熊本県は情報や事業化補助を、肥後銀行はネットワークや創業資金を提供します。熊本にある研究・技術をそのままで終わらせず、産業として発展させるために、業種の枠を越えて、様々な経験や実績をお持ちの社会人の方々が本気で取り組んでいます。

未来をつくっている場を間近で体感することでとてもワクワクしました!そしてこれからの熊本の”地域の力”による発展を予感せずにはいられません!

熊本テックプラングランプリ